円安によるオフショア開発への影響

円安が続くなかでオフショア開発を行うべきか迷っている方へ、円安がオフショア開発に与える影響やリスク、円安の影響を最小限に抑える対策について解説します。

オフショア開発における円安の悪影響

これまで開発費のコスト削減のために活用されてきたオフショア開発ですが、かえってコスト高になるリスクを抱えています。その主な原因が、ここ数年続いている円安です。

円安は、オフショア開発を行う日本企業にとって以下のような影響を与えます。

エンジニアの人件費上昇

オフショア開発が盛んに行われている中国やベトナム、インド、フィリピンなど主なオフショア開発国では、経済成長が人件費の上昇を招いています。これらの国々ではIT人材に対する需要も高まっており、それに伴い、エンジニアの給与水準も上昇している状況です。

この状況で円安が続くと、人月単価の上昇によってオフショア開発がコスト高になるリスクが高まります。

オフショア開発国における人件費上昇は、円安のみならず地域全体の経済発展や教育レベルの向上も影響しています。この状況で人件費高の影響を最小限に抑えるためには、いかに為替リスクを適切に管理できるかが重要です。

日本法人を介さない契約リスク

オフショア開発において、日本法人を通じているかどうかは重要なポイントです。日本法人があると、日本国内の法律に準拠した契約を結べます。万が一、トラブルが発生した場合でも、日本の法律にもとづいて対応できますが、日本法人が無い状況だと円安によって不利な状況に陥ってしまうリスクがあります。

言語や文化の違いから起こるコミュニケーションのミスや齟齬、プロジェクトの遅延を防ぐためにも、日本法人を持つオフショア開発会社と連携するといったリスクヘッジが大切です。

円安の状況でオフショア開発は行うべき？

円安によってコスト面でのメリットは薄くなりますが、人材確保という面においてオフショア開発にはメリットがあります。日本では深刻なIT人材不足が続いていますが、海外のエンジニアは日本ではなかなか得られない専門性の高い知識を持った人材が多くいます。

さらに、オフショア開発国との時差を活用することで、24時間365日体制をつくることも可能です。

多様なスキルや経験を持つ優秀なエンジニアを確保できる、プロジェクトの体制を強化できる点は、為替に左右されないメリットです。

円安の状況下においても日本で対応するよりも安い間は、オフショア開発を活用する価値は十分にあると言えます。

円安でオフショア開発を行う場合の対策

円安が進行している今の状況では、オフショア開発パートナーの選定も重要です。単にコストが安いオフショア開発を選んでしまうと、品質管理やプロジェクトの進行に影響し、かえってコスト高につながる可能性もあります。

これまでコスト重視で開発パートナーや委託会社を選定していたのであれば、品質やコミュニケーション能力、技術力などの選定基準を見直しましょう。円滑なコミュニケーションと技術力を持つ開発パートナーは、自社の競争優位性を確立するためにも重要な要素となります。

為替に左右されやすいコストなどの短期視点ではなく、質の高い成果物を安定的に提供できるといった長期的な視点で評価できるパートナーを選ぶことがポイントです。

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